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そばもん・第20巻(完結編) [ソバ本]

今日は、花の金曜日 毎週「一週一鉄」をアップしてきましたが....
  酷暑のため、赤い電車の画像が枯渇してしまいました すんません(ペコリ)

 そこで、本日のテーマは「そば本」としました
   と、云っても、いつもの蕎麦コミック「そばもん」です 第20卷となります
   いよいよ最終号、完結です 寂しくなります  前号第19巻の紹介は、半年前の今年3月でした

   今号の帯には「上野藪そば」主人 鵜飼良平氏の言葉...
      「丁寧な取材と緻密な構成。蕎麦の世界を知る書としても最高の一冊。」
       鵜飼良平さんは、一般社団法人 日本麺類業団体連合会 名誉会長でもあります


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        今号のおしながき
          第173話   そば切り発祥伝説 (京都編-1)
          第174話   そば切り発祥伝説 (京都編-2)
          第175話   そば切り発祥伝説 (京都編-3)
          第176話   そば切り発祥伝説 (京都編-4)
          第177話   そば切り発祥伝説 (京都編-5)
          第178話   そば切り発祥伝説 (信州編-1)
          第179話   そば切り発祥伝説 (信州編-2)
          第180話   そば切り発祥伝説 (信州編-3)
          第181話   陰謀の行方
           最 終 話   最後の旅



  蕎麦コミック「そばもん」最後のフレーズは、こちらです
   うちの商売、蕎麦屋でござる。売りますものは、おかめ、天麩羅、玉子とじ… 汁では、いつも苦労する。
                             「そばもんニッポン蕎麦行脚」--完--

             山本 おさむ 先生 全20巻 大変おつかれさまでした 次をお願いしま〜す




ついに「そばもん」完結と云うことで、前号に続き「そば切り発祥伝説」がテーマとなっています
  前号では、そば切り発祥として九州博多 承天寺にある「饂飩 蕎麦発祥之地」が取り上げられていました
  今号では、はじめに京都の相国寺・建仁寺・東福寺等の禅寺を訪問、探求を深め最後は、定説がある信州へ

    
 第181話「陰謀の行方」では、主人公 そばもん矢代稜が、ようやくそば打ちの旅を終わらせる方向が...
 そして、最終話「最後の旅」は、稜が、世界一周クルーズ船にそば打ち職人として参加することになりました
 今後、稜氏は(江戸そばの老舗である)藪・更科・砂場でも無い蕎麦屋を開店することになるようです
 「そばもん」では、江戸老舗ではないニューウェーブの蕎麦屋さんは、ほとんど取上げられておりませんが...
 山本おさむ先生、是非、次は自家製粉を採用する蕎麦屋さんをテーマとして取上げてほしいと思います





 「そばもん・矢代 稜」によるそば切り発祥伝説のまとめ
  1. そば切りは室町時代に禅林(多分 京都)に発祥した  (室町時代は、1338〜1537年)
    中国から帰った禅僧たちは、麺食の知識・技術・道具(特に挽き臼)を持っていた
  2. そば切りは 寺での客の接待などに出される特別な食べものだった(そばきりで無く“そは”と云った?)
    僧侶や上流階級の人々しか口にできなかった  (この頃は、湯ごねの蒸しそば切り?)
  3. 禅僧たちは全国各地の末寺を常に行き来しており、このネットワークを通じてそば切りは伝播した
    特に各地の臨済宗の寺(定勝寺、栖雲寺など)に、その痕跡が見られる
  4. そのひとつは京都から信州への中山道ルートで、定勝寺文書はそれを示している
    戦国末期には「そば切り」という呼称も成立していた
  5. 初期そば切りは寺に発祥し寺で食される「寺方そば」だったが次第に庶民にも伝えられるようになった
  6. 全地域がそばの名産地とも言える信州では爆発的に普及し、江戸時代に入るとそば切りの先進地として
     名を轟かせるようになった
     信州で初めてそば切りを食べた人が、ここを発祥の地と思ったのも無理からぬ事だった
  7. 信州から中山道ルートと甲州街道ルートで江戸へ、また、他の街道ルートでも各地へ伝播した
  8. もうひとつは信州の大名が各地へ移封(国替え)する事による伝播だった
    会津そば、出石そばなどは、この事により成立した
  9. 都市部では、菓子屋がそば切りを扱い、外食産業が成立してからは「うどん・そば屋」へ移行していく
  10. 江戸そばは、外食産業のそば切りとして、独自の発展を見せ....  (ここで、終わり)
    (独自の発展をした「江戸そば」の姿は、「そばもん」全19巻が解説していることのようです)


 いままで「そば切り」の初出は、1993年に郷土史家・関 保男氏が木曽大桑村須原にある定勝寺で発見した
    1574年の「番匠作事日記」(定勝寺文書)に記された「振舞ソハキリ金泳」という記述でした
   また、1706年刊の「風俗文選」という本に
    「蕎麦切といふは、もと信濃の国・本山宿より出て、あまねく国々にもてはやされける。」
    と云うこともふまえ、中山道69次32宿に「そば切り発祥の地 本山宿」の碑が立てられた
    こうして室町時代が知られぬまま、信州発祥説が発信されていった ← これが「そばもん」の見解です


   上記「発祥伝説のまとめ」は、1987年に上梓された
       伊藤 汎 著「つるつる物語―日本麺類誕生記」に、仮説として書かれていることのようです

                 (そこで、早速「つるつる物語」金沢図書館に貸出予約をかけました) 





 ちなみに、現存する蕎麦屋さん...
    日本最古は、京都「本家尾張屋 本店」室町時代の創業、今年で551年、現在も本業は菓子屋さん
   (そば菓子を生業として、江戸時代中頃の1700年ごろ、蕎麦屋をはじめ、現当主は第17代となります)
    日本二番目は、木曽郡上松町の「越前屋そば店」で創業から今年で392年です
    江戸で一番古い蕎麦屋さんは、1815年創業の久保田町砂場で、巴町砂場の前身?となるようです
   (「江戸蕎麦屋」のルーツは、大阪城築城の砂置き場の傍らに開店した「和泉屋」か「津国屋」か...)

       江戸の老舗の創業年は....
          1815年(文化12年) 久保田町砂場
          1840年(天保10年)  巴町砂場 ← 久保田町砂場
          1854年(安政元年) 江戸蕎麦手打處 あさだ
            1868年  ← この年が明治元年
          1881年(明治14年)  かんだやぶそば
          1885年(明治18年)  神田まつや
          1886年(明治19年)  そば所 よし田
          1888年(明治21年)  錦町更科
          1893年(明治26年)  上野藪そば       
          1900年(明治32年)  更科堀井
          1913年(大正2年)   並木藪







     既刊の「そばもん」全19巻の紹介は、こちらです
        そばもん   第19卷   「そば切り発祥伝説」(博多編) etc.
               第18卷   「カップそばってどうよ?」 etc.
               第17卷  「出雲そばルネサンス」 etc.
               第16卷   「会津そば-山都編」 etc.
               第15卷   「会津そば-桐屋編」(そば屋の3.11) etc.
               第14卷   ファイティングそば etc.
               第13卷   にしんそば etc.
               第12卷   討ち入り蕎麦 etc.
               第11卷   大阪のそば文化 etc.
               第10卷   赤茄子切り etc.
               第09卷   山形・天保そば etc.
               第08卷   年越しそば etc.
               第07卷   さらしなそば etc.
               第06卷   越前おろしそば etc.
               第05卷   カツ丼伝説 etc.
               第04卷   おかめの心 etc.
               第03卷   そばの三たて etc.
               第02卷   “白いそば”と“黒いそば” etc.
               第01卷   “もり”と“ざる” etc.


     「そばもん」全20巻 揃いましたヨ  勉強になりました
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          ニッポン蕎麦行脚 「そばもん」第20巻(完結編)
             山本 おさむ 著  
             藤村 和夫(元「有楽町・更科」四代目) 監修
             ISBN 978-4-09-187723-9
             2016年8月3日 初版第1刷発行
             株式会社 小学館 発行
             648 円(税込み)
             2016年8月4日 購入




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